A.分析方法には赤外吸収スペクトル法とガスクロマトグラフィーの2方法があります。赤外吸収スペクトル法は少量のトランス脂肪酸の定量には不向きなので、一般的にはガスクロマトグラフィーが用いられています。消費者庁が指定した方法もガスクロマトグラフィーで、多くの国が採用しているAOAC 996.06とAOCS Ce 1h-05です。この2方法と同等な方法に基準油脂分析試験法 2.4.4.3-2013とAOCS Ce 1j-07が加えられました。分析方法間により分析値が大きく異なることはありませんが、海外の販売先の指定等により、分析方法を使い分けることも可能です。本会は全ての方法に対応しています。
A.■3-MCPD脂肪酸エステル(3-MCPDE)及びグリシドール脂肪酸エステル(GE)とは、油脂の製造工程で意図せず生成する化学物質です。動物実験では、3-MCPDEが体内で分解されて生じる3-MCPDは腎臓や生殖器官に悪影響があること、GEが体内で分解されて生じるグリシドールは遺伝毒性発がん性があるこが報告されています。これらの化学物質については我が国で流通する油脂や油脂を含む一部の加工食品に含まれることが、農林水産省のHPで公表されています。 ■3-MCPD脂肪酸エステルとグリシドール脂肪酸エステルの分析は、間接法のAOCS Official Method Cd 29c-13(DGF Standard Methods Section C - Fats C-Ⅵ 18(10)と同一の試験法)を使用します。食用油脂(パーム油、こめ油等の植物油脂、ショートニング、ラード等)を対象としていますが、マーガリン、バター、調製粉乳等も対応可能です。
最近では、2-MCPD脂肪酸エステル(2-MCPDE)についても注目されており、当協会では2-MCPDEを含めて、3-MCPDE及びGEの3種類を対象とした基準油脂分析試験法(間接分析-酵素法)2.4.14-2016 、Joint JOCS/AOCS Official Method Cd 29d-19の分析も受託しております。植物油脂及び動物油脂(魚油を除く)、ショートニング、ラードを対象としていますが、マーガリン類(マーガリン、ファットスプレッド)、フライ食品などの加工食品についても対応可能です。